文責:普及啓発部 野田莉々子 政策提言部 川和ニコラ
2024年9月22日、23日にニューヨークの国連本部で開催された「未来サミット(Summit of the Future)」と、それに先立ち20日、21日にかけて開催された「アクション・デイズ(Action Days)」に事務局員4名が対面参加しました!そのうち1名は、日本政府代表団の一員として参加しました。
アクション・デイズのオープニングセレモニーのテーマは「#YouthLead the Future」で、若者が主導して企画したセッションもありました。国連の初代ユース担当事務次長補フェリペ・ポーリエ氏によるスピーチに続いて、アントニオ・グテーレス事務総長と若者による対話のセッションがあり、若者の参画度合いについての会場参加者対象のライブアンケートが行われました。そこで最も多かった回答は、参画の度合いを示す6段階評価の選択肢のうち最も参画の度合いが低い「Tokenism(お飾り)」でした。グテーレス事務総長は、国連プロセスの中でのユースの参画の機会を増大させること、そして国連機構の中でユースをより一層登用していくことの重要性を説いていました。
アクション・デイズ1日目は、「#YouthLead」と題したセッションが6つ開催されました。これらのセッションは国連ユースオフィスとパートナーによる共同企画で、それぞれのセッションでは若者が企画・運営に関わっていました。セッションの内容も、ジェンダー平等、世代間の連帯、人権、デジタル社会、気候変動、人道支援活動など多岐に渡り、会場は熱気に包まれていました。その他にも、アクション・デイズの2つ日間を通じて核軍縮、人道危機、報道の自由、経済格差、SDGsなど様々な分野のサイドイベントが開催され、専門家、政府関係者、国連機関の関係者、若者など多様なステークホルダーの話を聞くことができました。
22日より開催された未来サミットは、Opening Segment から始まり、政府間で協議された「未来のための協定(Pact for the Future)」が採択される瞬間を目の当たりにすることができました。Opening Segment に続いて行われた本会議(Plenary Session)では、国連加盟国の代表によるスピーチが行われ、1人あたり5分という時間制限の中で、各国のリーダーがさまざまな問題を提起していました。中でも特に印象的だったのは、南北問題が顕著になっていたことです。グローバルサウスの国々が新植民地主義(ネオコロニアリズム)への訴えを強調し、SDGs達成における資金不足への懸念が繰り返し挙げられていました。
「Interactive Dialogue」という、 世界各地の代表者による双方向対話も本会議と並行して行われていました。私は、国際平和と多国間主義をテーマにした「Interactive Dialogue 2: Enhancing multilateralism for international peace and security」というセッションを傍聴しました。このセッションでは、安全保障理事会の改革や、教育やヘルスケアを通じた若者への資金援助の重要性が議論されました。また、女性の政治参画を国際的に促進するため、次期国連事務総長に女性リーダーを選出するべきだという声も多く挙がっていました。対話に参加した各国の代表者は、世界的な課題に対して行動を重視する姿勢を示しており、未来志向の意見が多く見られた点が非常に印象的でした。
未来サミットで国連加盟国によって採択された「未来のための協定」は、「持続可能な開発と開発のための資金調達」、「国際的な平和と安全」、「科学、技術、イノベーション、デジタル協力」、「若者および将来世代」、「国際的な目標達成のための管理監視体制(グローバル ・ ガバナンス)の変革 」の5章と、「グローバル・デジタル・コンパクト」(デジタル協力とAIガバナンスに関する国際的枠組み)、「将来世代に関する宣言」の2つの付属文書から構成されています。「若者及び将来世代(Youth and future generations)」の章では、国内と国際の意思決定の場における若者の意味ある参画の重要性が示されました。この文書を踏まえ、日本国内でも意味ある参画を目指して活動していきます。
未来サミットとアクション・デイズに現地参加できたことは、非常に貴重な経験でした。日常生活ではなかなか感じることのできない国際的な潮流を、肌で感じることができました。引き続き、より多くのユースが国際情勢に興味を持ち、より多くのユースの声が意思決定に反映されるよう、アドボカシー活動や普及啓発活動に邁進してまいります。
未来サミットでの様子は朝日新聞社に取材していただきました。ぜひご覧ください。また、日本の市民社会の団体とともに、現地からの報告ライブを配信しました。
最後に、JYPSは同じく未来サミットに参加したユース団体の、「一般社団法人かたわら」、「一般社団法人日本若者協議会」とともに、『未来サミットポストイベント~未来サミットを振り返り、日本での若者の意味のある参画について考える~ 🌍#Youthlead』を11月8日に開催しました。本イベントでは未来サミットで採択された「未来のための協定」を踏まえ、日本国内で今後「意味あるユース参画」を推進していくためには何が必要なのかを、国内の主要なステークホルダー(国際連合広報センター、外務省、こども家庭庁)を交えて議論することができました。
参考資料
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